[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「ほんとにすいませんでした」
早月と2人して頭を下げる。
「ぜんぜんオッケーですって、そんな気にしないでくださいよ」
「でも、私首までしめちゃって……」
早月が弱気になってる所は初めて見た。なんか変な気分だ。
「こんなにキュートな女の子に首絞められたんですから幸せですよ私は」
男が笑顔で愛想を振りまく。
そう、この男。さっき早月が首を絞めていた空気の読めないハロハロ野郎は
この建物の責任者だとか。まったく変わった人だ。
「キュートだなんてそんな」
早月が照れてる。お世辞に決まってるだろマンガ女。
「いえいえ、ほんとに今まで見た女性の中で一番キュートですよ」
調子に乗ってハロハロ野郎もおだてるし。きりがない。
「あのぉ、お名前を聞いてなかったんですけど」
耐えられなくなって、話を切り出した。
「あぁ、そうでしたね。さっき申し上げたようにこの建物の責任者を務めております
ユダと申します。以後よろしくお願いします」
ユダが深く頭を下げる。こちらもそれに対応して礼を返す。
「さ、ここでお話しするのはなんですから奥のほうへきて椅子に腰をおかけください。
いろいろと長いお話になると思いますので」
早月と真人はその言葉の指示に従って部屋の奥へと進んでいった。
この部屋の壁の三面はガラスでできており、とても高価なつくりをしている。
床には赤いじゅうたんが敷いてあり、天井にはシャンデリラらしきものがぶら下がっている。
観葉植物も何個かあり、いつかはこんな部屋に寝泊まりしてみたいと思うほどだった。
2人はユダに指示され、高級な社長室にありそうな椅子に腰かけた。
ユダはテーブル越しの椅子に座った。
ユダが指を鳴らした。すると、さっきこの部屋に入ってきた扉の隣にあった
小さな扉からヒト型のロボットが出てきた。
そのロボットの手にはおぼんが乗っており、コーヒーが乗っていた。
「どうぞ」
ロボットは席のそばまで来て、そういうとコーヒーをそれぞれの椅子の前のテーブルに置いた。
「失礼します」
そういって、ロボットは来たところへと戻って行った。
2人は初めて見た大きなロボットに驚きを隠せないでいた。
やっぱりここは未来都市だ。そう思った。
驚いている二人を見てユダは
「すごいでしょ、うちの会社の最高傑作<w5>です。
まぁ前のメイドよりもよく働いてね」
「前はロボットじゃなかったんですか」
その質問にユダは答えに戸惑っていた。
「あ、そうだ。早く話を進めなくちゃ」
ユダは結局話をそらした。なにかありそうだ。とりあえずここは流れで
「まず最初に聞きたいんですけど、なんでぼくたちはここに来たんですか」
真人はその質問をさっきからずっと胸の奥にしまっていた。
そして、ようやくその質問を出す時が来たのだ。
「ですが、その質問の前にあなた方はどこから来たのですか」
ちょっと衝撃的な質問に2人は戸惑った。
「あなたたちがここに連れてきたんじゃないんですか」
「ですが、それはあなたがたの生命反応がわが社の地下牢に急に
あらわれたため、調査し、危険性がないということなのであなた方をここへと
招き入れようということになったのです」
「じゃぁあんたたちはあたしたちがなぜ地下牢に現れたのかわからないってわけ」
「はい、そうです」
「じゃぁわたしたちはどうすればいいんですか、帰れないじゃないですか」
早月は席から立ち上がり、目の前のつくえを強くたたいた。
「おい、早月落ちつけよ」
少しの間、静寂が訪れた。
真人は早月の服をつかんで座らせようとしてみた。
「真人はこのまま黙っていられるの。なんで私たちがこんな目にあわなきゃいけないのよ」
早月は今にも泣き出しそうな声だった。
たしかに早月のいうとおり、おれたちはなんでこんな目にあわなきゃいけないのだろうか
俺たちがなにかしたのか?いや、少なくとも俺は普通に生活していた。
きっと早月もそうだろう。元の世界に帰りたい。
今なら親父のうるさいお説教も、ゆずのくだらない興味本意の質問も
そうだな、もう帰れるんだったら何回振られてたっていいさ。
母さんのことも思い出さなくたっていい。
誰かが死んだとしても、俺は元の世界に帰りたい。
こいつが死んでも…。
真人は泣きそうな顔をした早月を見てそう思った。
胸の奥に罪悪感というものがうずめいていた。
だけど、今そんなきれいごと…。
漫画やアニメのヒーローじゃないんだ、おれは。
空も飛べないし、手から炎も出せない。ましてや見上げるほどの怪物と誰かのために
戦うなんてもってのほかだ。
そんな命を無駄にはしたくはない。
真人は座っている自分の膝の上に置いてあるこぶしを強く握りしめていた。
そんな二人の様子を見て、ユダは口を開いた。
「すいません、こちらの情報不足です」
その言葉を聞いて、また早月がユダに襲いかかろうとしていた。
「しかし、私は帰れないとは言ってはおりません。帰る方法は少なくともあるのです
ここはあなたがたがいた場所とは違う場所ですよ。あなたたちにとって
何が起こってもおかしくはないはずです。ですからそんな顔なさらないでください」
そういってユダは2人にほほ笑んだ。
その言葉を聞いて2人はなんだか心の奥のどこかに何か光るものが現れたような気がした。
2人の表情が少し、ゆるんだ。
「よかった。あなた方はそうでなくてはいけませんよ
最初に会った時はわざとあぁいうのりをしました。しかし、それはあなたがたを
和ませるためにしたものでした。見事に成功してあなたがたはいい顔してましたよ」
真人にはそれがただのこじつけにしか聞こえなかったが、ユダの笑顔を見ていると
なんだかそうも思えなくなってきていた。
「これから説明することはあなたがたにとって、とても大切な話です。
ですから、よく耳を澄まして聞いてください」
ユダがまじめな顔をしていった。
「まずは、この場所、世界のことについて説明いたしましょう。
ここはあなたたちが住んでいた世界とはおそらく異なり、
歴史、地理、経済などいろいろと違うところもあるかもしれません。
ですが、落ち着いて最後まで話を聞いてもらえると光栄です」
そういってユダはつくえの上に置いてあったコーヒーを口に運んだ。
「まずは昔話からしましょうか。
この地に伝わる昔話なんで正確かどうかはわかりませんがね。
昔々、この地には精霊と人間が住んでいた。
精霊と人間はともに助けあいながら生活していた。
精霊は人間に魔法を授け、人間は精霊に生きる技術を授けた。
お互い、何の隔たりもなく平和に暮らしていた。
そのころの人間の平均の寿命は、男女ともに40歳だったといわれている。
人間の一部がその寿命を延ばすことができないかと研究を重ねていた。
研究の途中、人間たちはあることに気がついた。
精霊には寿命がない。
そう、精霊が死んだなどということは一回も聞いたことがなかったのでした。
そして人間は一匹の精霊に問い詰めました。
どうして、そんなに長く生きることができるのかと
精霊は答えませんでした。
人間たちはいつしか精霊たちに不信感を抱くようになりました。
そして、いつしか人間と精霊は決別して生活するようになりました。
精霊の魔法が使えなくなった人間たちは、自分たちの技術を使い
魔法のような道具、魔道具を作り上げることに成功しました」
そういうとユダは自分のポケットの中から懐中電灯らしきものを取り出しました。
「これが魔道具です。このボタンを押すと、光が出る仕組みになっています」
これってただの懐中電灯じゃないか?真人は思った。
「そして、魔道具を作ることに成功した人間は魔道具の開発を進めました。
そして魔道具の開発に伴って、新事実が発覚したのです。
人間が魔法を使わなくなって5年後。人間の平均寿命は大幅に増え、80歳にもなっていました。
それは人間たちにとっては喜ばしいことでした。
しかし、なぜ魔法を使わなくなったら寿命が長くなったのかは今の技術でも
わかりません。その答えは精霊たちしか知らないというわけです」
またユダがコーヒーを口に運んだ。
真人は長い話のせいで、頭の中がパニック状態に陥ってしまっていた。
「わかっていただけたでしょうか
次にこの場所、魔法都市コロニスについてお話しいたしましょう。
魔法都市コロニスは魔法のような道具、魔道具の製作が盛んな都市として有名です。
なので、魔法のような都市ということで魔法都市と呼ばれています。
ここで作られた魔道具は大陸全土へと出荷しています。
生活用品、武器などなどいろいろな種類の魔道具があります。
さいきんでは魔道具を使った魔道具戦争などが問題になっており、
こちらも苦戦を強いられています。
この大陸には、いろいろな街、村、都市がありそれぞれが多様な特色を持っています。
まだ、未発見の土地や独立している村などがあります。
そういう村などが戦争を起こすのです。
まったくこまったもんです。
今、全力で魔法都市はそういう村をなくそうと土地開発を進めているところです」
そしてユダはまたコーヒーを口に運んだ。
このハロハロ野郎はいったい何回コーヒーを飲むんだ?
真人はパニック状態に陥っている頭の中で必死に考えていた。
つか、おれたちが帰る方法はどこにあるんだよ。ちょっとだけ真人はユダに不信感を抱いていた。
「さて、ここからがあなたたちが元の世界へと帰るための大切な話です」
前置きがなげぇよ…。
「この世界には人間と決別した精霊が潜んでいます。
どこにいるのかはわかりません。ですが、現に魔法を使う人間が多発してきています。
精霊たちなら何かを知っているのかもしれません。
それじゃなくてもまだ方法はあります。
この大陸には大きな図書館があり、そこの中にはかなりの数の本があります。
その中に、あなたたちが元の世界へと帰る手掛かりとなるものがあるかもしれません。
どっちを選ぶかはあなたたちにお任せします」
そう言われ、2人はお互いの顔を見合わせた。
帰る方法になりそうなものはあった。
そうするしか、帰れそうになさそうだ。
俺は、図書館に行って無難に本を探したほうがよさそうだと思った。
「精霊を探しに行きましょう」
早月が静かに言った。
「でも、どこにいるかわからないんだぞ精霊なんて…」
真人はその意見に反論する。
「じゃぁ図書館に行って、地道に探すっていうの?」
「あぁ」
2人はまた喧嘩になりそうな体制になった。
それを見ていたユダは2人の間に入った。
「2人とも落ち着いてください。さきほどあなたたちに任せるといいましたが、
私的には図書館のほうをお勧めいたします。
図書館には魔道具の検索機もありますし、そんなに時間もかからないと思います。
ですが、精霊を探すとなると魔法を使っている人たちに聞き込みをしなければなりません。
それはとっても危険なことです。ですから図書館のほうをお勧めします」
そこまで言い終えると、2人は落ち着きを取り戻していた。
「わかったわよ、じゃぁ図書館へと行きましょう」
どうやら早月も折れたみたいだ。
「真人さんもよろしいですね」
「ハイ」
急に振られたんでちょっとびっくりした。
それでも、図書館へと行くことになってよかった。命は大切にしなきゃ。
「それではあなたたちに渡しておきたいものがあります」
そういうと、ユダは右手の指を鳴らした。
すると、またロボットの<w5>が出てきた。
今度はコーヒーではなくて、別のものを手に持っている。
それをユダがとると、w5はさっきと同じように戻って行った。
「これです」
そういって、さっきユダがw5からとったものを2人に差し出した。
それは日本刀のような形をしたものと昔のゲームの主人公が使ってそうな剣と
なにやら凄そうな腕輪2個だった。
「それぞれお選びください。剣1つ、腕輪1つです」
俺は昔のゲームの主人公が使ってそうな剣をとった。
「その剣はただの剣なんですが、その腕輪がわが社が開発したオートバトルモードを
搭載しておりまして、もし戦闘に出くわすことになったとき
そのスイッチを押してもらい、剣を相手の体のどこかに切りつけると
切りつけたかたを敵とみなし、相手を戦闘不能にするというわが社の魔道具です」
へぇー、そうなんだ。と感心しながら真人は右手に腕輪をつけた。
「ちなみに補足ですが、早月さんのが最新型で真人さんのが1つ古いモデルとなっております」
「え、なんで?」
「実は、最新型のほうの在庫がなくてすいませんでした」
ユダが深く頭を下げる。
「やったねーだ」
早月がちょっと調子に乗っている。
今すぐ、この腕輪のスイッチを入れて切りかかりたいところだった。
「あと、この大陸の地図です」
いつの間に地図を取り出していたのか、さっきまで頭下げていたはずなのにと思ったが
真人は地図を受け取った。
地図というより、電子地図と言ったほうが正確かもしれない。
「ここが、この場所コロニスなんでここに行けば図書館があります」
ユダは地図の上で指を差しながら説明した。
「そこの地名は、イヴリンです」
「そして、今日はこのコロニスでゆっくりとして行ってください。
もちろん今度は地下牢ではなくてホテルで…」
そういって、ユダは深く頭を下げ部屋の奥へとはいって行った。
すると、後ろのエレベーターからまたあの男たちが来て、2人を連れていった。
2人はホテルの一室に案内された。
同じ部屋というのがなんだか気に食わなかった。
それでも、食べ物はとてもおいしかったので、そこらへんは勘弁しといてやろう
と真人は、心の中で勝手にそう思っていた。
| 06 | 2026/07 | 08 |
| S | M | T | W | T | F | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | |||
| 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
| 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
| 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |


